いま、なぜ被災地の調査なのか−大震災10年を検証する−
<勝村 弘也(神戸松蔭女子学院大学教授)さん ほか>
(04/10/21)
(吉田が書いた前書き)
10月18日、神戸から遠来の友人を迎えました。勝村弘也さんという方です。阪神大震災の救援活動中に知り合った方で、実に久しぶりにことでした。町田市に仕事でこられたとのことでしたが、少しの時間の一緒に過ごさせていただきました。
以下は、その際にお預かりした文書です。スキャナーで読み取ったため、きちんと内容が出ているか、十分でないところがあるかもりれません。
なお、その趣旨に関して、私は賛同するものですので、その意思を表明しておきます。
阪神・淡路大震災から10年
いま被災地では、多くの人々が「震災復興」から取り残されたまま生活苦にあえいでいます。
私ども「被災地10年を検証する会」は、今秋に予定されている「被災地生活実態調査」の成功
のため全力を尽くしてサポートします。みなさまのご理解とご支援をお願いします。
◎ いま、なぜ被災地の調査なのか−大震災10年を検証する−
2005年1月17日は、阪神l淡路大震災発生から10周年にあたります。この時を迎える
にあたって、今被災地では数多くの記念行事が準備さています。マスコミも近い将来に予想され
る東海地震、南海地震などに備えてあの大震災の教訓を生かそうと、さまざまな企画しているよ
うです。私たちも一方でこうした催しを計画しています。
しかし、同時に眼をそらしてはならないのは、10年目を迎える被災地がまだまだ復興してい
ないという現実です。震災は決して過去の出来事ではありません。兵庫県が某団体に委託実施し
た被災地の生活実態調査によれば、「8割は復興した」ことになっています。しかしこの調査は、
回収されたアンケート数が少ないことはともかくとして、郵送方式によっています。本当に生活
に困っている被災者がこのような調査に回答してアンケート用紙を郵送するでしょうか。この一
点をもってしても行政側が実施した調査には疑問符が付けられるのです。それ故に、被災地と被
災者をよく知っている者が、被災者の生活実態をさまざまな視点から調査して、国・県・市町が
執行した復興施策が適正なものであったか否かを明らかにし、被災者の生活再建と被災地復興の
ために提言する必要があります。
あの大地震の発生から今日まで、悲惨な状況の被災地で、被災者の生活再建支援の活動を継続
的に行ってきた私たちは、道路・港湾・高層建築物などの表面的な復興とは別に、被災者の現実
が、きわめてきびしいものであることを実感しています。震災から10年を経過し、被災者の高
齢化が進みました。手厚く保護されているはずの復興住宅においても多くの高齢者が、生活・福
祉・医療・近隣関係などさまざまな問題を抱えながら、明日への不安を抱えて過ごしているので
す。震災による失業も深刻な問題です。一口に失業と言っても被災地での事情は実に多様です。
地震によって破壊された店舗、事務所、工場の再建が出来なかった者、勤務先の状況から失業し
た者、やっと手に入れた仕事も震災不況につづく構造的な不況の波を受けて、仕事を失ってしま
つた場合・・・。このような状況は、震災以来ずっと続いているのです。
このような被災者の現状を、被災者の自己責任の問題として片付けることはできません。言う
までもなく震央後10年にわたる生活復興に関する行政のありかたとも密接に関係しているの
です。復興政策が総合的な視点を欠落させたまま、もっぱら震災時に住居を失った被災者に焦点
をあわせていたこと(「被災者」の認定の問題)は、大きな矛盾を引き起こしました。たとえば、
「自営の店舗・事務所・工場が全壊した」とか「生活の面倒を見てくれていた親族を失った」の
に、住居が無事だったために「被災者」には認定されないような人々が出現したのです。また、
避難所から仮設住宅、そして復興住宅への単線的移動という政策プログラムに被災者の生活を強
引に合わさせようとしたことも被災者の生活再建を著しく遅延させる原因になりました。また、
震災時、震災後の長期にわたる避難生活、生活不安は多くの被災者の心と体の健康を蝕んできま
した。こうした要因が積み重なって今の被災者の現実があるのです。
地震による全壊全焼は18万5千戸、半壊半焼25万戸にのぼり、公費による解体が30万戸
と言われています(岸本幸臣大阪教育大教授の調査による)。他方、建設提供されたのは民間住
宅を加えて12万5千戸に過ぎません。持家を自力で再建された方は、おそらく数千戸経度と推
定されます。およそ17万世帯の方々はいったいどこに行かれたのでしょうか。
阪神・淡路大震災から10年を経過しようとしている今、被災地と被災者の現状を明らかにす
るとともに、それがどのような経緯を通して生み出されてきたのかを検証する必要があります。
このことによって、被災者の生活再建、被災地の真の復興に何が必要なのかも明らかになるでし
ょう。このような検証作業には大きな困難が予想されますが、行政によってではなく、自ら被災
し、被災者すべての生活再建を心から願い、被災地復興に向けて懸命に活動を続けてきた人々や
その支援者の手によって行われることに大きな意味があります。このような検証は、震災から生
き残り被災地に生きている者の責務と考えております。東海地震、南海地震の発生が予測されて
いる現在、大震災を経験した私たちが担っている課題は、被災者だけではなく、はるかに多くの
人々が共有するべき課題ともなると確信します。
大震災の教訓は、「大自然への畏敬の念を取り戻すこと、すべての生命と人権を専重すること、
またそのために勇気をもって発言し行動することです」。この教訓を、ご支援をいただくみなさ
まとともに共有したいと思います。どうかご賛同、ご支援をこころよりお願い申し上げます。
2004年10月13日
「阪神・淡路大震災被災地10年を検証する会」
世話人:五百井正浩(真宗大谷派僧侶、ネットワーク朋代表)
勝村 弘也(神戸松蔭女子学院大学教授)
河村 宗次郎(兵庫県被災者連絡会会長)
柴田 信也(日本基督教団兵庫教区被災者生活支援・長田センター主事)
チェ ヒョヘン(在日韓国民主統一連合兵庫本部副代表)
お手数ですが、同封の返信用はがきにて、御意志を表明してくださいますようお願いします。
「被災地10年を検証する会」の趣旨に賛同される方は支援カンパ(一口3000円)をお願い
します。振込先:三井住友銀行 甲東支店(店番号376)4053741 「被災地10年
を検証する会」(現金書留にて事務局まで郵送してくださってもかまいません。)
事務局:神戸松蔭女子学院大学キリスト教文化研究所 勝村弘也(統括責任)
〒657−0015 神戸市灘区篠原伯母野山町1丁目2−1
電話:078−882−8785(勝村研究室直通)、078−882−6201(キリスト教文化研究所)
(以上、上記の文書をスキャンしたものを全文転載)
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